贈与税と相続税ですとどちらが有利でしょうか。両親と子供が2人だった場合に、5億円の資産を持つ親が死亡した場合に、どのような税率がかかりますか?
なるべく税金がかからない形で生前贈与も活用したいです。どのような方法が良いか、アドバイスをください。
暦年課税方式による贈与と相続の場合との比較で説明します。
考え方としては、相続を待って(相続税として)納税するよりも、贈与して(贈与税として) 納税した方が有利となる「分岐点」を確認して、贈与の方が有利となる贈与金額を見極めることです。
贈与税と相続税は、税率や基礎控除に違いがあります。
税率は、累進課税の課税対象金額の刻みが、贈与税の方が幅が小さく、相続税の方が幅が大きい。基礎控除額は、贈与税は年間110万円、相続税は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で算定されます。
仮に、一人の子供に年間110万円づつ贈与した場合、10年間で1100万円の財産を無税で渡すことが出来、二人の子供の場合だと財産は2,200万円減少します。でも、財産5億円の場合、まだ4億7800万円の財産が残り、対策としては不十分でしょう。
そこで贈与の方が有利となる分岐点をチェックしてみます。
この分岐点は、納税額と渡した財産との比率(実効税率)を、比較することで、分岐点がわかります。
例えば、ご質問のように財産が5億円として、早見表等利用すれば、相続税は、一次相続(財産を保有している夫の相続)での相続税が6555万円、二次相続(残された配偶者の相続)の際の相続税が4920万円、合計1億1475万円の納税が予想されます。実効税率は23%です。[ただし、一次相続における配偶者の相続割合は法定相続分の1/2と仮定 ⇒ 配偶者の税額軽減を利用、また配偶者の固有財産はゼロと仮定して算定]
一方で、贈与税の実効税率は、1370万円贈与すると贈与税は314万円、実効税率23%で相続税とほぼ同じ。それ以内の贈与は相続よりも有利になります。例えば1000万円の贈与であれば、贈与税は177万円(実効税率17.7%)となり、相続を待つよりも、低い納税負担で、財産の移転が可能です。[ただし、贈与を受ける人は20歳以上の子供と仮定し特例贈与として算定]
〇年数をかければ、有利な納税負担で、早く財産を渡すことが可能です。
※ただし、相続で財産を取得した人が、相続開始3年以内に被相続人からの贈与で取得
した財産は相続財産に加算されますので、注意が必要です。
〇贈与は時間をかけて対策するのには、有効な方法です。
実行に当たっては、税理士等専門家へ相談して検討してください。
〇また令和4年度税制改正大綱で、「今後暦年課税方式の見直しを検討していく」とさ
れているので今後の改正にもご注意ください。
回答No.1 2022.02.25 16:08