孫を養子にすると相続税が減らせると聞いたのですが、本当ですか?
義理の両親が資産家で、万が一の時は相続税がかかると夫が言っていたのですが、相続対策で孫(私の子)を養子にしたいという話が出たようです。
私としては急な話で混乱しています。できれば養子にしたくありません。
本当にその方法を取る必要があるのか、それ以外に方法はないのかなど、気になることが多いですが相談できる相手がいません。
教えていただけると助かります。
相続(税)対策で孫を養子に、という話は、次の内容によるものですね。
国税庁タックスアンサーNo.4170「相続人の中に養子がいるとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4170.htm
ご相談者の場合、義親の子(つまりご相談者の配偶者)がいる前提でお話しますと、養子は1名まで、相続税の計算において法定相続人に含めることができます。これで増える基礎控除額が500万円。相続税のかかるご家族の場合、基礎控除額を増やすことにより、正味遺産額から控除できる金額を500万円増やせます。
法定相続人のメンバー構成により、基礎控除額を減らすことにより効果の出る減税幅は異なるので、ご相談者の場合にどの程度の効果が出るかは不明ですが、仮に、義母はがすでに他界しており、義父の正味遺産額が1億円、法定相続人が子1名とするとき、養子縁組前の課税対象財産は6,400万円です(1億円-3,600万円)。小規模宅地特例などの軽減措置の適用を想定しないとき、相続税は1,220万円です。
国税庁タックスアンサーNo.4155「相続税の税率」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
基礎控除額を増やすことは、相続税の税率で最も高いゾーン(上記の例の場合、課税財産のうち5,000万円~6,400万円の部分、すなわち1,400万円が税率30%と最も高い)を削り、その分の税額が軽減される効果を期待できます。
養子縁組することにより基礎控除額500万円を増やすと、
500万円×30%=150万円
の税額を軽減できます。
さて、この150万円の節税をするために養子縁組をすることが、果たして本当に賢い選択なのか、ということですね。
養子縁組をすれば、孫は法律上の子の地位を得、税務だけでなく法的にも法定相続人になります。つまり、義父が亡くなったときの遺産分割協議のメンバーにもなります。
孫が未成年だとどうでしょうか。家庭裁判所に特別代理人の選任手続きを経なければ、遺産分割協議をすることができません。また、特別代理人の制度を利用すれば、孫の法定相続分を確保する遺産分割協議を成立させることが原則となります。
わずか150万円の節税効果を狙ったために、一族の今後の資産承継戦略が崩れることにもなりかねません。
専門家に相談をしながら、ベターな選択をしていただければと思います。
回答No.1 2022.04.17 13:57