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Question
不動産の相続

81歳の母の相続についてお聞きしたいです。父は他界し相続するのは私1人になります。
主に不動産が相続対象になる予定です。
不動産の1つ目は都内の主要な駅から徒歩10分圏内の5階建てのビルで1〜4階はテナント、5階に母が一人で住んでいます。
2つ目は1つ目の近くに20台ほど置ける駐車場を月極で貸しています。
今はテナント、駐車場すべて埋まっています。
この不動産に対する借入はないですが、今回銀行の提案で新たに駐車場をマンションにする話が出ています。すべて銀行からの借り入れで行う予定です。駐車場よりもマンションの方が利益が出るとのことですが、新たに借金が増えることに不安を覚えています。
マンションはいつも入居があるとは限りませんので、このまま駐車場にして方がいいと思っているのですが、母は銀行の担当者に駐車場のままでは利益率が悪いし立地もいいためマンションにした方が良い、また借金をするのは不動産を手放さないようにするためと言われたそうです。相続税対策とのことですが、本当にそうした方がいいのか心配しています。
私自身は預金も少ないため、もし今母が亡くなってもこれらの相続税を現金で払うことは難しいと感じています。相続放棄をすることにならないか心配です。
本当に長期の借入をする事が相続税対策として有効なのか教えていただきたいです。

相続 > 不動産活用 tori / 2022.04.14
Answer
鈴木 敏起  司法書士 東京都

得意分野:家族信託×財務コンサルティング、おひとりさまライフコンサルティング、資産承継コンサルティング

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鈴木 敏起  司法書士 東京都

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借入による建物建築の効果を正しく理解してから、検討しましょう

銀行の提案は、借入をしたうえでの不動産有効活用と、相続税の節税ですね。「借金をするのは不動産を手放さないようにするため」と銀行に言われたそうですが、ここまでかみ砕かれてしまうと、よくわからくなりますよね。

ご相談者のご質問の締めくくりにある「本当に長期の借入をする事が相続税対策として有効なのか」という疑問、まさにここを解消して、自身が実施することに対する正しい理解が必要と思います。


1.借入は相続税の節税対策になるか

借入をしただけでは相続税の節税にはなりません。たとえば2億円の借入をしたとしても、調達した資金がキャッシュとして手元にあれば、キャッシュの増加分が2億円、借金でマイナス2億円、差引0円で、課税財産に変化はありません。

借入した資金を、建物という資産に替えることで、相続税法上の評価の仕方が変わります。2億円の建築費をかけて建てた建物は、たとえば9800万円に評価が変わります。

また、建築した建物を賃貸することで、土地の評価も自用地から貸家建付地という評価に変わります。相続時の賃貸稼働率にもよりますが、たとえば18%くらい評価を下げることができます。更地評価1億円の土地であれば、8200万円ほどになります。

2億円のキャッシュが9800万円の評価になることによる▲10200万円の減額効果と、1億円の土地が8200万円の評価になることによる▲1800万円の減額効果の合計、▲1億2000万円に税率をかけた額が、節税となります。


2.時間経過とともに鈍化する節税効果と、キャッシュフローの良化前夜

さて、借入による建物建築は、借入をした瞬間が最も効果があることを知っておきましょう。すなわち、借入をしてすぐに母様が亡くなった時に、一般的には上記の効果の恩恵を最も受けられます。

一方、母様が仮に95歳まで存命ですと、すでに返済期間の半分を経過した時期に亡くなることにより、課税財産から引き算できる債務は減り、建物も経年変化で評価が減額されていくとしても、課税財産の圧縮は控えめになっていきます。

また、返済期間中であれば、2棟目の収益物件(マンション)のキャッシュフローはそれほどよくありませんので、納税資金原資となる母様の預金もさほど増額されていません。

駅歩10分圏内の立地ということなので、マンションは順調に稼働しているのかもしれませんが、キャッシュフローが劇的に良くなるのはローン完済後です。「不動産を手放さなくてよい」と銀行は言いますが、「できれば手放したい」不動産に成り下がってしまっていても困ります。借入をして建築するとしても、不動産市場と建築計画をよく照らし合わせ、維持していくのに負担のない物件に仕上げる必要があります。銀行はできるだけ多く貸し付けたい意向があるので、そこは慎重に検討してみる姿勢が必要です。

回答No.1    2022.04.18 08:39


竹内 佐江子  行政書士 東京都

得意分野:相続・遺言・信託コンサルティング、後見、死後事務支援

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計画をじっくり見てください。

現状では相続税の納税が困難であれば、相続発生時に相続税分を銀行から借りるか、不動産を換金するかしかありません。

要するに不動産を手放す可能性の高い選択肢しかありません。

それについてお母さまと相談者様の気持ちはどうでしょうか。

いやだな~と思えば続きを読んでください。

そういう中で、不動産を手放さずに、納税もできる、さらに収入を増やすこともできる。

それが今回銀行が提案しているマンション経営です。

基本的には理屈上は問題解決の対策として優れています。

問題は不安をどう克服するかですね。

不安は、新たな借金へのもの。

それは収支計画・返済計画をしっかりみることから始まります。

そんなうまくいくかな。

という点を数字の裏を読んでいくことになります。

第三者の専門家に見えない支出、リスクを聞いてみて、NGな点をしっかり、物件と家族の状況に落とし込んでいきましょう。

不動産は現代では「経営」力が必要とされています。

建てれば入居者が埋まる時代ではないと思います。

まずは市場を見て、計画のおかしなところを探して、納得の上で意思決定
しましょう。


なお、駐車場にしたままにしておいて、適切な時期に売却し、納税資金を確保するという選択肢も相談者様のご家族にはあるかと思います。

ただ80才のご高齢のお母さまの財産処分能力が認知症によってうばわれてしまうことも考えられます。

対策としては任意後見または家族信託という手もあります。


専門家にいろいろと相談していただければと思います。




回答No.2    2022.04.16 19:02


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