父が軽度の認知症を発症している場合、父の名義の自宅や土地を売却することは難しいのでしょうか。
また、母は健在ですが母自身が相続した不動産があり、将来的に売却したいとなると今から動き出した方がいいのでしょうか。
アドバイスお願いします。
不動産の売却時期に自在性を持たせたい、そんな希望に応えられるのが家族信託です。
では、成年後見では売却するのが難しいのか?
これに対しては、一概にそうは言えない、とお答えしておきます。
父様の認知症が今より進行したとき、父様自身が売買契約と所有権移転登記をすることがNGとされ、成年後見制度を利用しての売却が検討されます。
後見制度の中での不動産売却の可否の基準は次のとおりです。
①不動産を売却しないと、父様の療養介護費が出せないほど預金残高が少なくなっている
②自宅として利用していた不動産の場合、父様が今後、その建物で生活する可能性がとても低い
将来的に、①②のような環境が見込める状況であれば、家族信託による不動産売却を一択とすることはありません。後見制度の利用も比較検討してよろしいかと思います。
一方で、父様の金融資産が多いと、①の要件を満たさず、売り時を逃さず売却することが難しくなります。
また、金融資産が多い状況で、成年後見制度を利用すると、後見人に親族がなるときは、家庭裁判所より、
(ア)後見制度支援信託の利用
(イ)後見監督人をつける
の選択を迫られ、後見制度の利用に、煩わしさを感じる一幕となります。
父様の金融資産が多い状況においては、不動産売却の際に後見制度を利用しなくて済む環境をつくる意味で、家族信託を採用することとお薦めします。
回答No.1 2022.05.02 19:07
お父様もお母様も、健康寿命と生命寿命の差が開き、いずれ財産が動かせなくなる危険を抱えることを心配されているとおもいます。
家族信託で不動産についてTAROさんに名義を変えておくことでこの危険が回避できます。
家族信託の説明をしておきましょう。
家族信託は家族内の信託契約のことをいいます。
一般的には、財産をもっている親が子どもに財産の名義を移し、自分は利益を享受するだけの立場になります。
親を委託者兼受益者、子どもを受託者といいます。
財産は信託の目的にそって管理・処分することができます。
税務上は受益者が財産を所有しているものとみてくれますので、譲渡税や贈与税はかかりません。不動産取得税もかかりません。
そして一般的には親がご逝去された場合に信託終了となり、子どもにすべての権利が移ります。
費用的には、スタート時点では不動産の場合、登録免許税が0.4%です。
あと専門家の報酬が相場では30万円~、公証人手数料が数万円かかります。
一見安くはない負担ですが財産が塩漬けになってしまうことの経済的な損失(弁護士等の成年後見人を付けた場合には月額3万円~の報酬が発生)や精神的な大変さ(家族の自由に財産が管理・処分できない)を考えると、やっておいたほうがいい家族が多いといえます。
回答No.2 2022.04.19 23:41